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理事長挨拶

ご挨拶

 我国における高度経済成長が始まったとされる1954年に、故深田淳夫氏と故陶山國男氏が「地質工学の創造」を旗印に掲げ現在の敷地に財団法人としての研究所を設立しました。「公共の利益になる研究を行う」という精神の下、純粋な民間の地質調査に関わる財団法人として6名でスタートし、すでに創設以来60年以上の長い歴史を刻んできました。そして2011年には、この精神をさらに鮮明にするために公益財団法人深田地質研究所に移行しました。

 深田地質研究所は現在多くの事業を遂行していますが、これらを実施する目的は現在の定款において、次のように定められています。「この法人は、地質学や地球物理学等を基盤とする総合地球科学の研究、及び環境、防災、建設等社会発展に係る科学・技術の研究、ならびにそれらの融合的な研究を進めることにより、複合的な地球システムへの理解を増進し、その研究等の活動を継承する専門家の教育・人材育成及び研究助成活動を行うとともに広範な国際交流を通して、これらの先進的成果を社会に広く普及せしめ、もって社会の持続的な発展に寄与することを目的とする。」このように、深田地質研究所では、基礎的な地球科学の研究のみならず、環境、防災、建設などと関連してくる複合的な地球システムに関わる事項に関して、研究事業、普及・育成・助成事業などの事業を行っています。
 
 深田地質研究所が設立当初掲げた「地質工学の創造」という大きな目標は、先人たちの大いなる努力と貢献によって、またその後の高度経済成長期の土木事業の拡大と相まって大きな進歩を遂げてきたと思われます。多くの国土インフラの整備の基本は地質調査から始まるわけで、地質工学と呼ばれる学問分野の確立において、その牽引役の一翼を深田地質研究所が担って来たことに、大きな誇りを感じています。 

 しかし、現在我々の生活を脅かす多くの地球科学に関わる出来事が多発しているように思われます。1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震は、阪神・淡路大震災を引き起こし、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに続く津波は、福島第一原子力発電所事故を含む、大規模地震災害を発生させました。さらに、20世紀を通じて我々が消費し続けて来た化石燃料資源は、大気中の二酸化炭素を急速に増加させ、その結果として地球温暖化が進んだとも言われています。昨今の世界規模でみられる気候変動、我国においても集中豪雨の頻発とそれによって引き起こされる洪水・土砂災害の発生など、我々も無関心ではいられません。このような地球上で生じている日常生活に大きな影響を与える事象に対しても、定款に掲げられている「複合的な地球システムへの理解」という視点からの検討が不可欠になっています。

 深田地質研究所は地質学を基盤とし、これまで以上に広く周辺領域の学問も巻き込みながら、この様な新しい学問分野の構築と普及、さらには国際交流などに関しても、総力を挙げて取り組んでいきたいと考えています。どうか皆様のお力添えのほどよろしくお願い申し上げます。

平成28年7月
代表理事       
理事長 松岡 俊文