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財団法人深田地質研究所年報 第8号 2007


国分寺崖線の地形と地質 その4 -世田谷区喜多見六丁目~同区玉川三丁目区間-

Geomorphology and Geology in Kokubunji-gaisen, No. 4 – Setagaya-Ku Kitami 6, Setagaya-Ku Tamagawa 3 section –

藤江 力

FUJIE Tsutomu

要旨:武蔵野台地の地形発達史を検討するために, 台地の南端に位置する通称の国分寺崖線の世田谷区喜多見六丁目から同区玉川3丁目までの地形解析と現地視察の結果をその4として報告する.
キーワード:地形解析, 国分寺崖線, 東京, 地形と地質

東京都東西方向地質断面図の作成 その7-東京地下鉄⑭千代田線,有楽町線および都営新宿線,都営浅草線地下地質断面モデル-

The Geology in E-W direction of Musashino Plain, Tokyo City No.7 - Modeling of Geologic Profile along The Tokyo Subway , Chiyoda Line, Yurakutyo Line , Toeisinjuku Line and Toeiasakusa Line –

藤江 力・小林英一・堀口隆士・野焼計史・郡山剛 ・才口六男・浅野将之

FUJIE Tsutomu , KOBAYASHI Eiiti, HORIGUCHI Takahito, NOYAKE Kazufumi, KOURIYAMA Tsuyosi ,SAIGUTI Mutsuo, ASANO Masayuki

要旨:2006年度の前半に東京地下鉄⑭からの御好意により千代田線、有楽町線および都の交通局の御好意により都営新宿線と都営浅草線の地下地質断面図を入手した.今回は上記の4路線の断面図を縮少しマイラ-に焼きつけ着色を行い同縮尺に縮少しモデルとした.
キ-ワ-ド:地下地質断面図モデル,千代田線・有楽町線・新宿線・浅草線,東京, 地質

日本の中生代哺乳類研究の動向

The trend of the studies of the Mesozoic mammals in Japan

瀬戸口烈司

SETOGUCHI Takeshi

要旨:オズボーンが提唱した哺乳類の臼歯の咬頭の命名体系は、中生代哺乳類の進化理論である「コープ・オズボーンの三結節説」と不可分に結びついている。古生物学者はこの命名体系をすぐに採用したが、三結節説の致命的欠陥を指摘した歯科医学界は採用を拒否した。三結節説に代わる理論として、臼歯の機能の重要性に着目した「トリボスフェニック型臼歯」の概念が提唱された。第二次大戦後に、中生代哺乳類の進化とトリボスフェニック型臼歯の形成に関して整合性ある新理論が提出された。日本国内では、その新理論に古生物学者は無頓着で、むしろ歯科医学界が注目するという、ねじれ現象が見られた。日本では、いまも、トリボスフェニック型臼歯の概念の重要性は歯科医学関係の出版物によって語り継がれる、という様相を呈している。

花崗岩中の不連続面の粗度計測法‐デジタル写真測量を例として

Digital measurement of fracture roughness in granite- an example of digital photogrammetry

藤井幸泰

FUJII Yukiyasu

要旨:節理や断層などの不連続面は,岩盤の力学や水理学的挙動に大きな影響を与える.したがって不連続面の形状を精度よく計測することは非常に重要である.最近デジタル写真測量を用いて,花崗岩中に発生させた一軸引張破断面の粗度計測を試みた論文が発表されている.ここでは不連続面の形状をデジタル写真測量でどのように計測するのか,その手法について詳述する.
キーワード:一軸引張,破断面,稲田花崗岩,立体写真

2007年5月11日~5月17日までのハワイでのIODP Expedition 303・306ポストクルーズ・ミーティングの報告

Preliminary report of post-cruise meeting for the IODP Expedition 303 and 306 in Hawaii from 11th May to 17th May 2007

川村喜一郎・川村紀子

KAWAMURA Kiichiro, KAWAMURA Noriko

Abstract: In this paper, we report preliminarily second post-cruise meeting for the Integrated Ocean Drilling Program Expedition 303 and 306 at Kona in the Hawaii Island from 14th May to 17th May 2007. Furthermore, we report field excursions before the meeting.
キーワード:北大西洋,続成作用,ハワイ島,キラウエア火山,プウオオ火山,リフトゾーン

作って楽しむアンモナイトアクセサリー(財)深田地質研究所一般公開で実施されてきた化石の型取りを通してする地学教育の普及

Let us make and enjoy Ammonite accessories: Dissemination of earth science through self-learning practice of replica-making of fossils, offered at the occasion of Open-House of Fukada Geological Institute

藤田勝代・川村喜一郎

FUJITA Masayo, KAWAMURA Kiichiro

Abstract:Fukada Geological Institute has been holding an open house event every October since 1997. This event aims at the strengthening the relation with community and also at the dissemination of the geological and geo-engineering knowledge to the public. The event includes the exhibition of the research results, the consultation about geological problems, and self-studies by experiences such as earthquake vibration, liquefaction models, landslide shows and so on. We try to promote peopleユs concern with the world of geology and geo-engineering.
Model-making of fossils by themselves is, among others, highly appreciated as is known by the name of ammonite accessory making. This makes the people, from children to elderlies, popular with the replica making, thus introducing them to the life of the past. The new accessory making is, unlike the conventional plaster casting, very easy to do, by applying the new resin into the mother mold. Moreover, easy coloring and putting ribbons and hooks make the products unique accessories.
The self-made accessories, very quick to make by the up-to-date material, used as necklaces and/or name tags for bags for instance, attract peopleユs attention to the fossils, even if for short time period. During the work, we have the time for conversation with the customers about the name, age and provenance of the target ammonite. This is useful for attracting the peopleユs interest to the world of natural sciences.
In this paper, we will explain how to make the replica from the ammonites in much easier and quicker way. Anybody who is interested in can use it for earth science teaching.キーワード:アンモナイトアクセサリー,化石の型取り,地学教育の普及
Keyword: Ammonite accessories, model-making of fossils, dissemination of earth science teaching

高知県からこれまでに報告されたジュラ紀アンモナイトの再検討

Restudy of the Jurassic Ammonites hitherto reported from Kochi Prefecture

佐藤 正

SATO Tadashi

要旨:高知県下からはジュラ紀のアンモナイトが繰り返し報告されてきたが,その報告は散発的でいろいろな印刷物に分散しており,参照するのが難しかった.しかもその産出地点はしばしば不明確で,正確に詳細な地点を決定するのは困難であった.アンモナイトはジュラ系の対比にとって決定的に重要であるので,これまでに報告された種類を再検討する必要があった.2006年に著者は高知県下のアンモナイト産地のいくつかを訪問する機会があり,そのおり標本が保存されている佐川町の佐川地質館と越知町の横倉山自然の森博物館を訪れて保管されている標本を実見することができた.以下にこれまでに報告されているジュラ紀アンモナイトのすべてを列挙し,そのいくつかについて再検討した結果を記述する.標本の所蔵先もできるだけ確かめた.
キーワード:ジュラ紀,アンモナイト,総括リスト,アンモナイト産地,高知県.

地盤工学における物理探査データのロックフィジックスをベースにした解釈技術に関する研究 岩石物性データの収集と予備的解析

Study on rock physical interpretation of geophysical data for geotechnical applications - Data collection of physical properties of rocks and preliminary study of rock physical models –

高橋 亨・田中莊一

TAKAHASHI Toru and TANAKA Soichi

要旨:近年,石油・ガス探査分野では,貯留層の特性の把握やモニタリングにおいて,ロックフィジックスをベースにした地震探査データの解釈技術に関する研究や適用が積極的に行われている.この分野では,主に地震探査データを用いて,砂岩のような堆積岩がモデル化の対象となっている.一方,土木や環境分野を含む地盤工学分野でも,地盤の力学的,水理学的モデル化を行うためには,ロックフィジックスをベースにした物理探査データの解釈技術が重要となってきているが,この分野では,堆積岩だけでなく,花崗岩などの結晶質岩もモデル化の対象とする必要がある.そこで,筆者達は,地盤工学分野で遭遇する各種岩石に対する物理探査データの解釈技術に関するロックフィジックスをベースにした研究を開始した.研究では,室内岩石試験や検層で得られた岩石物性データを収集するとともに,それらのデータを用いて既存の岩石モデルの適用性に関する予備的な検討を行った.本稿では,地盤工学分野での物理探査データの解釈技術の現状について外観するとともに,石油・ガス探査分野で開発されてきたロックフィジックスの概要について説明する.その後,本研究で収集した岩石物性データの内容と実例を紹介する.収集したデータのうち,国内の代表的な岩種である堆積年代の若い堆積軟岩の例として泥岩と亀裂の多い結晶質岩の例として花崗岩の物性データについて既存の岩石モデルの適用を試み,今後の地盤工学分野における物理探査データのロックフィジックスをベースとした解釈技術の研究課題を抽出した.
キーワード:物理探査,ロックフィジックス,地盤工学分野での適用,データベース

2004年新潟県中越地震を誘因とする大日山(塩谷神沢川)地すべりの構造

Structure of Dainichiyama (Shiotani-Kamisawagawa) landslide caused by the 2004 Niigataken-Chuetsu earthquake

大八木規夫・井口 隆・内山庄一郎・横山俊治・藤田勝代・斉藤華苗

OYAGI Norio, INOKUCHI Takashi, UCHIYAMA Shoichiro, YOKOYAMA Shunji, FUJITA Masayo and SAITO Kanae

要旨:大日山(塩谷神沢川)地すべりは2004年10月23日新潟県中越地震によって発生した.この地すべりの規模は中越地震によって発生した約4000箇所の地すべりのうちで面積最大(23ha),体積第2位(9×106m3)である.この地すべりは後期鮮新世川口層のシルト質泥岩層に発生し,地すべり構造の見地から6領域に区分できる.領域Iは滑落崖であり2つの亜領域に区分でき,亜領域Iaは典型的な急傾斜崖であって,滑落崖西翼を構成している.この斜面上に残された条線,および,この滑落崖が切った養鯉池の非変動域および変動域における二つの対応地点から求めた地すべりの移動方向はおよそS38°Eである.亜領域・bは階段状の急斜面であり,滑落崖東翼を構成している.ここには背後(北側)斜面から回転・転倒した岩塊・樹木が載っている.領域・から・はこの地すべりの移動体である.領域・はその主要部であり,3つの亜領域に区分できる.亜領域・aは変形が最も弱く,並進性すべりにより86±4m変位した.そのすべり面最大深度は80mであった.亜領域・bおよび・cは浅い回転性すべりを示し,亜領域・bは亜領域・aの南側に,・cは・bの南側に接している.領域・は西に傾動した部分である.領域IVは移動体北東部を構成し,多数の小ブロックに分離した.領域・はプレッシャーリッジであり,4つの亜領域からなっている.亜領域・aは地すべりの南西側対岸斜面を押し上げたものである.亜領域・bもおそらく同様に形成したと推定される.亜領域・cは領域・cの先端部が対岸に衝突したものである.亜領域・dは亜領域・aと・bの北側に領域・との間に挟まり,比高は小さいが逆断層で形成された.亜領域・は移動体先端の一部が粘性流動化したものである.この地すべりは地すべり地形に示された過去の移動体が再移動したように見えたが,試錐資料によると過去の地すべり堆積物は厚さが20m以下であり,今回発生した深さ80mに達するすべり面は今回新しく形成されたものと推定される.この違いは3次元的予測に関する重要な課題を我々に投げかかけている.
キーワード:中越地震,大日山,塩谷神沢川,地すべり構造,地すべり地形,プレッシャーリッジ,移動体

New record of a pterosaur from the Late Cretaceous Izumi Group, Awaji Island, Hyogo Prefecture, Japan

OBATA Ikuwo, SHIBATA Kenichiro, MATSUKAWA Masaki and David M. UNWIN

Abstract: A specimen (UMUT MM7978) listed in 1936 as an ammonite, Baculites cf. vagina Forbes, from the Izumi Group of Awaji Island, Japan is reidentified and described as a pterosaur bone. The occurrence of the pterosaur is shown on a geological map and a columnar section. The geological age is considered as Upper Campanian or Lower Maastrichtian judging from ammonite biostratigraphy. Global ocean surface currents of Campanian and Maastrichtian age and the distribution of pterosaurs are illustrated on a paleogeographic map. The paper also lists Japanese pterosaurs from five localities, indicating the geological age and the sedimentary environments in which they were preserved. Consideration of taphonomic conditions suggests that the collection of a more complete record of pterosaurs from the Jurassic and Cretaceous of Japan will be possible in the future.
Keywords: Izumi Group, Kita-ama Formation, Awaji Island, azhdarchid pterosaur, Baculites, Late Cretaceous