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財団法人深田地質研究所年報 第3号 2002


東京都東西方向地質断面図の作成の概要 その3

The Outline of Geologic Profile in E-W direction of Musashino Plain,Tokyo City

藤江 力・深田淳夫・小林英一・堀口隆士

Tsutomu FUJIE, Atsuo FUKADA, Eiichi KOBAYASHI and Takahito HORIGUCHI

要旨:3年度のとりまとめの地質断面図の作成作業は,(財)深田地質研究所と明星学園高校との計11回(3年間で合計29回)の打合せを行い,地質・土質ボ-リング資料の収集,文献の収集,地形面とくに国分寺崖線沿いの観察と資料の収集,野外巡検,湧水・水質調査,新聞資料(都内版)の収集,区および市の郷土資料館での文献収集などを行った.3年度の資料入手の結果は,特に地質関連の新たな知見が得られず,まだまだ武蔵野台地の地質構成・層序・地下深部の分布や構造についての問題が残されていると判断した.そのため将来の問題解明のための一提言をする.
キ-ワ-ド:地質断面,東京,地質.
(p1~6)

地形解析における三角斜面について その9 成層火山「羊蹄山」・「富士山」の三角斜面

On the Trigonal Shaped Slope in the Geomorophic Analysis -No.9
The Trigonal Shaped Slope in Yotei Volvano and Fuji Volcano

藤江 力

Tsutomu FUJIE

要旨:地形解析における三角斜面の研究は,その9で成層火山地形について検討を行った.成層火山の事例は北海道の羊蹄山と本州中部地方の富士山をとりあげた.その結果火山地形においても山腹や山麓あるいは寄生火山の場所に三角斜面の存在が認められた.
キ-ワ-ド:三角斜面,成層火山,地形解析.
(p7~42)

2001年2月に行われたオマーンオフィオライトの調査報告

Priliminary report of ophiolite survey in Oman, February, 2001

川村喜一郎

KAWAMURA Kiichiro

Abstract: The formation mechanism of layered gabbro in ophiolite suite was studied by magnetic suscepitility analysis. In famous ophiolite site of Oman, the layered gabbro forms an alternating white (several m thick) and black (several tens of cm) layers. The magnetic susceptibility decreases rapidly upward in the white layer. The magnetic susceptilibility is proportional to the amount of magnetic minerals, which are probably ferri-magnetic (e.g. magnetite), judged by its high values of magnetic susceptibility (10-2-10-3 in order) and corroborated by thin section observations. The magnetite was probably formed by hydrothermal alteration of olivine in the gabbro. Based on the above mentioned facts, this profile of magnetic susceptibility in the layer indicates that the amount and magnetite (olivine) decreases upwards in the white layer. This fact stems from the formation of the layer by accumulation (deposition) of olivine mienral grains during cooling of the magma in magma chamber.
キーワード:オマーン,オフィオライト,層状はんれい岩,帯磁率
(p43~48)

気仙沼市大島産ジュラ紀大型アンモナイト

A gigantic Jurassic ammonite from Oshima, Kesen-numa,Miyagi Prefecture, Japan

小畠郁生・下山正一・小野寺恭一・松川正樹・小野寺邦彦・豊田康祐

OBATA Ikuwo, SHIMOYAMA Shoichi, ONODERA Kyoichi, MATSUKAWA Masaki, ONODERA Kunihiko and TOYODA Kosuke

要旨:1968年に気仙沼市大島東岸の若木浜の海崖からジュラ紀大型アンモナイトを発掘した.標本の形態的特徴を記述し,暫定的にその属種を Perisphinctes sp. aff. ozikaensis Fukadaとした.産出地点を志井田に従い舞根層上部と考え,本種の産出を基に Upper Oxfordian とするか,近年の諸知見にに基づき小々汐層上部と考え Upper Ti1honianとするかなどは,課題として残る.今後さらに示準アンモナイトの探索に努める必要がある.いずれにせよ,大島対岸の舞根層模式地産ならびに牡鹿半島萩ノ浜層産の類縁属種との比較は,対比上の見地からも検討されるべきであろう.
(p49~58)

花崗岩中の割れ目(節理)の時系列解析

Chronological analysis of fracture in Granitic rock

藤井 幸泰・堀 伸三郎

FUJII Yukiyasu and HORI Shinzaburo

要旨:筑波常陸北条に露出する花崗岩中の割れ目の形成順序を推定した.(1)立体写真測量を用いた解析により,割れ目の分布を三次元的に捉えることができた.(2)割れ目やその破断面のメソスコピックな観察から,割れ目の破壊過程と形成順序を決定できた.(3)コアドリルを用いたサンプリングで割れ目入り薄片を作成し,マイクロスコピックな観察からも割れ目の形成順序を把握した.以上3つの解析から筑波常陸北条の割れ目は,N 20°E 高角傾斜の節理の形成→N 80°E 高角傾斜の節理の形成→N 20°E とN 80°E 高角傾斜の節理の剪断とN 40~60°E 高角傾斜の節理の形成,という時系列をもつことがわかった.
キ-ワ-ド:joint, fracture, fault, photogrametry, fractography, microstructure of joint
(P59~78)

南部北上山地牡鹿半島のジュラ系についての層位学的研究の補足と若干の考察

Additional Notes on the Jurassic System of Ozika Peninsula,
Southern Kitakami Mountain Land, JAPAN

深田 淳夫

Atsuo FUKADA

要旨:北上山地牡鹿半島のジュラ系牡鹿層群について,これまでに発表した研究論文に書き漏らしていた観察結果をまとめて追補とした.とくに,月の浦沖の小鯛島の詳しい地質・化石産地を載せた.またこれまで侍浜部層から報告された化石とくにアンモナイトについて総括を行った.さらにジュラ紀後期の重要な示準化石であるペリスフィンクテス類について網羅的なサーベイを行い,これまで報告のなかった標本の図示も行った.取り上げた種類は, Kranaosphinctes matsushimai (YOKOYAMA)とPerisphinctes ozikaensis FUKADAで,北上山地のみならず日本全国からの産出標本を調査した.最後に牡鹿層群を基盤とする女川原子力発電所付近の地質についての所見を記した.
キーワード:牡鹿層群, 小鯛島, 侍浜, Kranaosphinctes, Perisphinctes, ジュラ紀後期.
(p79~100)

東・東南アジア数値地質構造図(北半部)の編集完成

Compilation of the digital Geotectonic Map of East and Southeast Asia(Northern Half) completed

佐藤 正・奥村公男

SATO Tadashi and OKUMURA Kimio

要旨: CCOP-CPCEMR-IUGS の共同事業として作業中であった東・東南アジア数値地質構造図計画は,残されていた北半部の編集作業が完了し,近く刊行にいたる見込みとなった.これで1988年以来続行されてきたCCOP 加盟国を中心とする地域の地質構造図が完成することになった.この数値地質図は2000年3月にその第1巻が刊行されたが,その後ほぼ1年半を経て第2巻ができたことになる.第2巻の編集にあたっては,第1巻で明らかになった技術的な欠陥を補うとともに,必要と思われる事項や新しく補足した方がいいと思われる事項を付け加え,いっそう使いやすい数値地図をつくることを目指した.今回新たに付け加えられた事項としては,レイヤーをグループ化してグループを一括して選択・非選択できるようにしたこと,図上の構造単位の特徴判読のために4-6桁の数値コードをつけたこと,数値地図データを用いた陰影つき地形図をレイヤーの1枚として加え,地形と地質の関係を読みやすくしたこと,全体図を別につくって地域全体の地形が見られるようにしたこと,その図の上に都市・震央・火山の点データを載せたこと,任意の線にそう地形断面図を自動的につくるツールを含めたこと,各区域の構造図をPDF化してそのイメージを多くのパソコンで見られるようにしたこと,各区域に8方向からの鳥瞰図をPDFファイルとして付けたこと,などがある.
キーワード:地質構造図,数値地質構造図,東アジア,東南アジア,レイヤー構造,CCOP.
(p101~112)

原位置試験による変形係数についての一考察

Some Consideration on Deformation Coefficient by In-Situ Loading Test

武内俊昭

Toshiaki TAKEUCHI

要旨:同一の岩盤に対して異なる種類の原位置試験によって得られる変形係数が互いに異なることは現場においてしばしば経験する.かって筆者らは平板載荷試験と孔内載荷試験による変形係数の関係について花崗岩における結果を報告したが,今回,堆積岩のデータを若干付け加えて検討した.その結果,地質の違いによってこれら変形係数の関係に違いは見られなかった.そこでこの結果を受けて,堆積岩を基礎岩盤とする実際の構造物について変形係数の分布を考察した.その結果,応力機構の違いと変形係数のひずみ依存性による関係を併せて検討することにより,実際の挙動をより合理的に説明できることを示した.また,この検討過程を通して残された課題に対する今後の視点についても述べる.
キーワード:原位置試験,孔内載荷試験,平板載荷試験,変形係数,ひずみ分布
Keywords:In-situtest, Borhole Loading Test, Plate Loading Test, Deformation Coefficient, Strain Distribution
(p113~118)

南会津地域における大規模地すべり地形とカルデラ

Large-scale landslides and calderas in Minami-Aizu districts, Japan

大八木規夫

Norio OYAGI

要旨:東北地方南端中央部から関東地方北端中央部にかけては奥羽脊梁地帯の火山とりわけカルデラ火山帯状配列の延長に位置し,すくなくとも16個のカルデラが認められている.そのうち木賊,塩原など9個のカルデラについて,その地質構成と地すべり地形の分布,および,地すべりのタイプとの関係を検討した.今回の研究でも,地すべり地形の分布は後カルデラ期に形成された湖成堆積層の存在に依存していることが確認できた.湖成堆積層は,すべり面あるいは液状化層の形成,上位の地層によってはキャップロック構造,マグマの貫入を受けて水蒸気貯留層の形成,など地すべり発生に対して多面的な重要性を持っていることが明らかになった.一方,カルデラ形成期の火砕流堆積物は急峻な地形を形成している場合が多く,その侵食様式として地すべりは少ないが,初期的変形地形は多く存在し,降雨や地震を誘因とする崩壊による削剥が顕著である.その斜面基部や小渓出口にコルビウムや沖積錐が形成されている場合が多い.これらは,しばしば集落の背後に存在するので,土砂災害防止の上で注意を要する.
キーワード:カルデラ,大規模地すべり,湖成堆積物,水蒸気作用深層地すべり,火砕流堆積物,沖積錐
Key wards: caldera, large-scale landslide, lake deposit, phreato-activation-deep-seated landslide, ash-flow deposit, alluvial cone
(p119~136)